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これまでの足取り
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さてそこからベネチア、ウィーンなんかをまわり、ホテル探しにあいかわらず苦労しつづけてたので、私はやっと、毎回まえもってユースホステルを予約するというごく当たり前の知恵をつけた。そしてハンガリーのブダペスト、戻ってウィーン、チェコのプラハ、と順調にユースに泊まり歩いた。あれだけドミトリー(共同部屋)を避け続けていた(できごと日記「ガンジスのほとり」参照)私も、ヨーロッパのユースの清潔さと安さには感銘をうけ、いつしかごく自然にドミトリーの住人になっていた。
そこから先、私はアムステルダムに行ってみようと思ってた。アムステルダムは、前に番外の「怪談」で出てきた友達のS山田がもう2年も前から行きたい行きたいと言っていた場所だったから、どんなところか見てこなくちゃと思っていたんだ。ただ、チェコからオランダの間にドイツがあるのにすっとばして行くのはなんかドイツに失礼な気がして、適当な中継地を考えたらベルリンになったのだった。しかし、ユースホステルの本で絶賛されてる3軒のユースはどこも予約いっぱい。そこで思い出したのがイギリス人アンディに教えてもらったmitte hostel(旧称backpacker's hostel)だったというわけ。
そこにチェックインして、初日の晩はスモークサーモンとアボカドを買ってきて食べて寝た。そして、次の朝起きたらうでにじんましんが出ている。さわってみたらひじのへんがすごいボコボコにふくらんでいて、なんか気持ち悪い感じだった。これは昨夜の鮭がいけなかったかなと思ってその日は刺激物や卵は避け、あたりさわりのないものを食べたけど翌日にはさらに発疹が増え、クビにも赤いぶつぶつができていた。薬局に行ってアレルギーなのって言ったらおばさんが、ドクターに見てもらった方がいいわよって言いながらも飲み薬を売ってくれた。それを飲んで寝たけど、翌日は更に増えてもう半袖を着て歩けなかった。
その晩には私はアムステルダムに出発したわけだけど、あまりに発疹がかゆくて、掻くとまた痛むし、ちょっと困っていた。それに、ちょっとおかしいとも思い始めていた。だって、いままでじんましんが出てもこういうブツブツにはなったことないし、スモークサーモンの製造日はそんなに古くなかったし、鮭であたったこともなかった。でも、虫にやられたと考えるには、ちょっと不自然だとも思っていた。発疹は猫ノミに刺された跡に似ていた。でも一晩の間にあんなにやられるほどいたとしたら絶対1匹や2匹見かけてなくちゃおかしい。私は以前、猫を飼ってた都合上家の中でノミまで飼ってしまったことがあったから、ノミぐらいなら見分けられるはずだけど、mitteにいた数日の間にノミを見かけたことは一度もなかった。隣や近くのベッドに泊まっているひとたちで、カユイって言ってるひともいなかったし、第一虫がいるようなとこだったらアンディが薦めてくれたはずがない。
それで、長くなったけど、結局アムステルダムで病院に行って、医者に判断を仰ぐことにしたのだ。 |